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防災体験館 体験レポート

3Dシアターと豊富な体験メニュー、防災用品も買える消防署併設型防災体験施設 レポート
神奈川県総合防災センター 訪問'08/5/10
神奈川県総合防災センター 内部

県の災害拠点と消防学校に併設された、充実内容の併設型防災体験館。地震・暴風雨・消火・煙体験など、内容に工夫が光る各体験コーナーと、その他の展示も広いスペースを活かして点数豊富。休憩スペースもあり、半日ゆっくり楽しんで過ごすのに良い所です。

ガイドツアーで楽しめる体験コーナー

1 併設型でも巨大な施設 2 広大な駐車スペース
神奈川県総合防災センター 外観 神奈川県総合防災センター 駐車場
県の災害拠点・災害備蓄倉庫を集約した総合防災センターの一角。隣に消防学校あり。 施設前に加え、写真の芝生部分や屋外訓練場・ヘリポート脇など、駐車場は広大です。

3 ガイドツアーに申し込むと 4 ガイダンスホールで予習映像
体験コーナー 整理券 ガイダンスホール
案内カウンターで受付をして、整理券を貰います。開始時間は状況により異なります。 防災センター施設と体験コースの案内映像が流れるので、見ながら開始を待ちます。

5 まずは1階で2つの体験 6 最初は地震体験コーナーから
1階体験コーナー 地震体験コーナー
体験コーナーは1階と2階の西側に集約した造り。まずは1階で地震と風水害体験。 揺れは2次元のみ。ガイドの解説は、地震時の対処と神奈川県での想定地震など地元仕様。

7 地震体験は役割を決めて対応 8 風水害体験コーナーで暴風雨
地震体験コーナー 地震発生中 風水害体験コーナー
東日本大震災の本震最大波(震度7)・関東大震災・想定神奈川県西部地震などを再現。 普段は風速30mの強風体験。日曜・祝日午後は、雨合羽を着て暴風雨体験も。

9 2階に上がり防災シアターへ 10 防災館としては大きめのシアター
防災シアター 外観 防災シアター 内部
約20分の映画「宇宙から来た友達」は、様々な災害に遭う中で共助をキーとした内容。 小さな映画館並の座席数で、防災体験館としては大きい部類。ボディソニック等はなし。

11 神奈川県の災害コーナー 12 消火体験コーナー
神奈川県の災害コーナー 消火体験コーナー
県内に被害のあった大規模災害を振り返り、県の防災体制を確認できます。 ガラス張りのブース内で、消火器の使い方を体験。出題されるクイズにも答えられる?

13 水消火器を画面に放射 14 煙避難体験コーナー
消火体験中 煙避難体験コーナー
画面の火災に向けて、訓練用水消火器を放射。当たり判定付きで、消火失敗する事も。 デパート火災やその他の場面を選べ、演出も変わります。ここでもクイズの出題が。

15 通報体験コーナー 16 音声を認識します
通報体験コーナー ブース 通報体験コーナー 画面
火事と救急の両方の場面で、公衆電話などからの119番通報の体験ができます。 ある程度の音声認識をしており、うまく通報ができないと、要所でツッコミが入ります。




  

体験コーナー以外に自由に楽しめる展示

1 防災Q&Aコーナー 2 家庭防災の知恵コーナー
防災Q&Aコーナー 端末 家庭防災の知恵コーナー
地震・風水害・火事から、子どもを助ける場面で問題に挑戦。時間制限もあります。 災害で被害が起こりやすい場所を、模型と映像で解説。家の模型が意外な事になります。

3 防災用品コーナー 4 休憩室もあります
防災用品コーナー 休憩室 コミュニケーションルーム
非常持出品や二次持出品、家庭の事情に合わせた備えを実物と映像で見られます。 自動販売機と、防災に関する書籍・資料類があって、飲食可能な休憩スペースもあり。

5 消防用具発達の歴史コーナー 6 明治・大正時代の消防用具
1階 消防用具発達の歴史コーナー 明治・大正時代の消防用具 展示
昔の資機材を集めた、消防の歴史コーナー。渋い3輪消防車が記念撮影スポットに。 手動の腕用ポンプ「雲龍水」や馬牽き蒸気ポンプなど、昔の消防ポンプ車が勢揃い。

7 江戸時代の火消し用具 8 地震と建物の揺れ方コーナー
江戸時代の消防用具 地震と建物の揺れ方
江戸時代の水を入れて手動で放水する「龍吐水」は、巨大水鉄砲のような消火器です。 施設出入口には、建物構造や大きさの違いで、揺れ方の違いを実感できる機器が。

9 珍しいスロッシング現象再現模型 10 屋外にはなぜか小田急線車輌
石油タンクでの中身の揺れ方 小田急電鉄2600系電車 筆者も通学でよく乗っていました
石油貯蔵タンクを模して、家庭の浴槽でも起こりうるスロッシング現象を再現しています。 訓練用なのか、駐車場の隅に小田急電鉄の2600系電車が静態保存されています。


  
  

体験した印象

以下は2007年訪問当時の評価ですが、現在の地震体験コーナーでは、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の本震最大波(震度7、宮城県栗原市で観測)も再現可能です。

 県立の施設だけあって、内容充実の防災体験館でした。ガイドツアーでの説明も、的確かつ県内事情を織り込んで、詳しくも判りやすいなかなかのレベルです。体験コーナーの中では、地震体験コーナーが特筆モノ。揺れは上下方向がない2次元ではありますが、揺れの後に大きな余震が来たり、対応が遅れると揺れで勝手口ドアが歪んで開かなくなる演出など、単なる地震体験に留まらない実戦仕様の仕掛けに工夫が光ります。また、神奈川県では一番脅威となる、神奈川県西部地震の想定波を体験できる数少ない施設なので、県民であれば一度体験してはいかがでしょうか。

 また、体験コーナー以外の展示も、広い建物空間を活かした、ギミックや実物を使って楽しく「魅せる」内容で。ガイドツアーが終わっても、楽しく見て回れます。非日常感のあるスタイリッシュな空間造りや、自動販売機もある休憩スペース等々、ゆっくり楽しく学んで半日は過ごせます。

 欲を言えば、展示・体験内容全般が「災害発生前の自助」に偏っており、災害発生前後に必要とされる自助分野や、地域での共助についてもっと扱って欲しいと感じます。一つの提案として、自由見学ゾーンの一部を割き、災害情報の入手や避難に関する展示コーナー、応急救護・救出方法に関する体験コーナーを設けてみてはいかがでしょうか。

 なお、愛甲石田駅(下記参照)・伊勢原駅(愛甲石田駅行、約15分)・平塚駅(同、約30分)から路線バスでも行けますが、鉄道沿線から離れた県央地区なので、自動車で行く方が便利でしょう。駐車スペースは満車の心配がないほど広大なので、安心して行けると思います。

  
  

神奈川県総合防災センターの施設情報

 
所在地: 神奈川県厚木市下津古久280
URL: http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f5115/
TEL: 046-227-1700
開館時間: 9:00-17:00
入館料: 無料
休館日: 月曜・祝日の翌日・年末年始
交通アクセス: 小田急愛甲石田駅より、神奈中バス伊勢原駅南口行・平塚駅北口行「長沼」下車東に徒歩5分、東名厚木ICから2.5km、小田原厚木道路厚木西ICより1.5km
駐車場: 60台(大型13台)

映像シアター あり 消火体験 あり 土砂災害
119番体験 あり 煙避難体験 あり 火山
地震体験 あり 水害 あり 応急手当
津波 台風体験 あり 耐震補強
ガイドツアー 随時開催(60分ツアーを、概ね20分間隔で出発)